■ 斎藤りんご園:齋藤政貴さん&美穂さん
あぶくま高原の一角をなす羽山のふもとで、りんご農家の3代目として暮らす齋藤政貴さんと美穂さん。
ふたりは都会での暮らしを経験し、その上で故郷の福島県にもどることを選んだ。

それぞれに帰郷を決意した経緯をたずねると、
「僕は関東でIT関係の仕事に就いていましたが、数年前、母の死をきっかけに家業を継ぐことを決意しました。全国からりんごが集まる東京でさえも実家の味を超える美味しいりんごに出会えなかった。それなら、自分で美味しいりんごをつくる暮らしもやりがいがあると思ったんです」と政貴さん。
一方、郡山出身の美穂さんは、
「10代の頃、都会に憧れて東京の大学へ行き、そのまま就職。大学の保健室にいてバリバリ仕事していましたから、まさか自分が福島に戻って田舎暮らしをするとは思ってもみませんでした。でも、これもご縁ですね。ちょうど今後の生き方を考えたいと思っていた頃に、彼と出会ったんです」
美穂さんは、岩代にある政貴さんの実家を初めて訪れたとき、「二本松にもこういう山里があるんだ」と少しびっくりすると同時に、自然の中で暮らすことの豊かさを実感したそう。
結婚を経て、りんご農家の手伝いをしながら暮らして約1年。
岩代暮らしの感想をたずねてみました。

「何といっても時間の使い方を自分で決められるのが一番の魅力です。自由だなって感じます。それに東京にも郡山から新幹線で1時間と少しで行けるので、行きたければいつでも行けます。東京のよいところと田舎のよいところを両方味わえる暮らしですね」と政貴さん。
「もともと体を動かすのが好きなので、りんご農園の手伝いも楽しんでいます。ただし、農作業をする人は肩こりや腰痛にもなりやすいので健康管理に気をつけています」と美穂さん。
健康運動指導士の資格を持つ美穂さんは、「身体さえ壊さなければ、農業はとても豊かな仕事だと思います」という。「彼に実験台(笑)になってもらい、農業をしながら健康に暮らす秘訣やノウハウを研究しています」。
ストレス解消や健康の秘訣をたずねると、
「車で5分のところに名目津温泉があるので、ふたりで週に3日くらい訪れています。農作業の後、ぽかぽか温めて体をほぐしてくれます。これが一番の健康法ですね」。


最後に今後の抱負について質問してみました。
「僕の得意分野のIT関係の技術を生かし、ホームページを充実させたいです。
ドローンを飛ばしてりんご園を空から撮影して紹介しています。また重さ25キロの大型ドローンでの液体飼料の散布の可能性も研究しています。りんごとりんごジュースの販売以外にもりんご関連の新たなことにもチャレンジしてみたいですね」。
「りんごの花がとても可憐で種類も豊富なので、りんごの花びらとかを利用して何かできないかなって思っています。将来、ワークショップとかも開いてみたいですね」と美穂さん。
ドライフラワーやレジンアートなどでの作品づくりに試行錯誤中だそう。

りんご農家での暮らしに無限の可能性と安らぎを感じているふたりは、岩代での暮らしを心から楽しんでいる様子でした。
斎藤りんご園WEBサイト:http://ringoya.cloud-line.com/
斎藤さんのりんごは、2020年のオーガニック・エコフェスタにて、栄養価がコンテスト最優秀賞を受賞しました。
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