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1暮らしのブログ

流れ転がり…Dual Life! 日々是好日(1)

●二拠点のコントラスト

2020年秋からいわしろ暮らしをしている、いわしろMaison 新入会員「冬蜜柑(ふゆみかん)」です。
はじめての里山生活、そして移住の当事者なので、私のしくじりや気づきが、もしかしたらどこかの誰かの参考になることがあるかもしれません。ヨソモノ目線で感じたこと、考えたことなど、肩ひじ張らず正直に書いてみようと思います。とりとめなくなりそうですが、よかったらおつきあいください。

近くの高台から望むいわしろの中心部(小浜)。前方に安達太良・吾妻の峰々が広がります

さてさて。まずお伝えしておくことがあります。

アラカン・単身の私の転居はやや特殊で、諸事情により当地の地域おこし協力隊になったことに端を発します。しかも、一般的な移住とちがって「二地域居住」「多拠点生活」などと呼ばれるケースです。元の家の荷物を一切合切まとめて引っ越してきたのではなく、自宅はそのままに、寝具や当座の着替えなど最小限の必要品だけ、いわしろへ運び込みました。

今どきは、和製英語でdual life(デュアル・ライフ/都市と田舎を行ったり来たりする二重生活)などと表現されることもあります。これまで20年あまり、なんだかんだで常に二拠点をうろうろしつつデュアルな暮らしを続けてきた私…変わり者かもしれません。今回は、岡山市といわしろ、うんと離れた二拠点です。高速道路で移動しても片道約900㎞あります。

以前の生活環境はこんな感じで、いわしろとは対照的です
生活するうえで何の不便も感じませんでした
高台に登ると山が見えるのは、私にとってはいわしろのいちばんの魅力です

いわしろの新居は、簡単にいえば職場の借上げ住宅です。「The昭和」の趣がある立派な町家で、天井が高く部屋数も多く、空き家でありながら品格ある家具・家電が置かれていました。伝統的日本建築の様式で造られ、風情のある床の間や坪庭もみごとです。

岡山の家の近くを流れる川辺は緑道公園。図書館に寄ったり買い物したりしながら散歩します

いわしろの家と対照的なのが岡山の自宅です。こちらは利便性抜群の都心の集合住宅(高層マンション)です。鉄筋鉄骨の頑丈な建物。私の住居は独立性が高く快適な東南角です。いつ帰っても困らないよう、留守中も電気・ガス・水道を通してあります。エントランスにオートロックとセキュリティカメラが設置され、自室インターフォンも録画機能付きです。管理人が常駐し、ロックがかかる宅配ボックスも設置されているので何かと安心です。建物・エレベーター・駐車場・植栽の管理も掃除も、定期的な排水管清掃も火災警報機点検も…すべて専門業者におまかせ。火災や押入り強盗などの非常時のホットラインはもちろんのこと、自室の天井の電球が切れたり鍵が故障したり…という厄介ごとが発生したら、24時間無料サポートデスクへの電話一本で専門業者が飛んできてくれます。まさに、至れり尽くせりのシステムです。

ついでに言えば、町内会・自治会・子ども会といった近所付き合いもなく、隣家の住人の顔さえ見たことがありません。いわしろに来るまでの何十年も、そんな暮らしが当たり前になっていました。

こんな書き方をするとイヤミな感じが鼻につくかもしれませんね。でも、この拙文は里山移住や二拠点に少しでも興味のある方が読んでくださることを想定しているので、私が感じた都市生活と田舎生活のコントラストは、あえて強調しておきたいと思います。なぜなら、「住まいの維持・管理にはお金で解決できないことがいかに多いか」「住民同士が対面で助け合わなくてはならない場面がいかに多いか」…いわしろで私が痛感しているのがそのことだからです。里山では、お金を払って自分の住まいを他人に管理させようなどと考える人はいないだろうと思うからです。

安住の地や終の棲家という考え方にとらわれず、「カラダが自由に動くあいだはいわしろと岡山を行き来しながら、余生を充実させたい」と私は考えました。ところがいかんせん、コロナ禍の移動自粛で二拠点の移動は思うにまかせず…。
今はただ、里山の皆さんの多くが生涯一拠点に腰を据え、どんなときでも地に足をつけ自立した暮らしをされていることに心打たれ、敬服するばかりです。

10~11月、いわしろではりんごが実ります。一般の市場に出回ることが少ない幻のりんご「羽山りんご」

★都会から移ってくる人にお伝えしたいのは……「里山生活での自宅の管理はなかなか大変そう」ということです。自宅建物を維持・管理するだけではなく、春から夏は敷地内や私道・公道の草刈り、冬は雪が降れば雪掃きや雪掻きの仕事があります。夏の朝は5時から(涼しい時間帯に)草刈り機の音が鳴り響き、雪の朝にはまだ暗いうちからカリカリザリザリ…近隣の方が歩道の雪を掃く音で目が覚めます。

その他、初夏に町内で行われた「家の消毒」にはびっくり仰天しました。各戸の家の床下の通気口に噴霧器を近づけ、防虫剤を注入するのです。町によってはこのような作業も、近隣の助け合いによって行われます。

コロナ禍ゆえ地域内の行事は軒並み中止になっています。そのため私はまだ、町内一斉清掃や冠婚葬祭やお祭りなどを経験していませんが、そういう地域のお付き合いのなかに喜びも大変さもあるのでしょう。「隣は何をする人ぞ…」なんてわけにはいかないのが里山生活です。

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