●無音の闇に宇宙を想う…

岡山市からいわしろに来たのは寒さに向かう少し前だったのですが、初日に驚いたのが気温の低さと日没の早さでした。いうまでもなく、西日本と北日本の緯度・経度の違いによるものです。調べてみると、気温には6℃前後、日没時刻には35分ほどの差がありました。


いわしろの新居は山の陰になるため、午後はあまり日射しが届きません。コロナ禍の自主隔離として転居後の2週間は独りひたすら家にこもってすごしたのですが、慣れない場所で夕方の早い時間から暗くなってしまうのは、とても心細く感じられました。

思えば、人口72万都市の中心部に暗闇はなかったのです。日没を待たずして街には煌々と灯りがともり、近隣の店には夜もにぎわいがありました。クルマや電車や信号の音、緊急自動車のサイレンなどは24時間、街のBGMになっていました。喧騒はホワイトノイズで、もはやうるさいとも感じず、すっかり耳になじんでいました。

しかし、いわしろでは早くから家々は寝静まり、夜に出歩く人など見かけません。
森閑としたいわしろの暗い夜は、心細くも新鮮でした。これは正真正銘の夜だよね…と独りごとをいいながら見上げた先には、ネオンライトや広告ではなく、星空がありました。
♪木枯らしとだえて さゆる空より 地上に降りしく くすしき光よ
ものみな憩える しじまの中に きらめき揺れつつ 星座はめぐる♪
これは、『冬の星座』(堀内敬三 作詞)という日本の唱歌です。冬の夜の静寂の中、命あるものたちは憩い、たえまなく自転・公転する地球の空を壮大な星座群が巡る…。まさにあの、永遠で崇高な宇宙観。
いわしろ初日の夜に、記憶の奥の奥からこんな文部省唱歌が出てくるとは驚きです。小学校で習った歌? これって何だろう…。無音の闇は、人類の内奥に潜む畏怖や原初の感覚を呼び覚ますのかもしれない…などと、宇宙に想いをめぐらせたことでした。
★都会から移って来る人にお伝えしたいのは……里山の朝は早く、夜も早いということです。都会のような夜遊びは似合いません。生活習慣の改善はぜひ里山で! 夜型のあなたも自然と早起きになっちゃうことでしょう。\(^o^)/

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