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日々のできごと

いわしろに農業女子が集まったはなし。その2

いわしろ発・食と農について学び、また新たな仲間づくりの場として活動中の
「学びをとおしてつながろう!~目指せ農業女子・豊かな食~」。全6回の講義の回数を重ねるたびに仲間が増え、新たなつながりも生まれました。そんなすてきな集まりのこれまでをご紹介する2回目。昨年10・11月に行われた第3・4回目についてまとめました。

「学びをとおしてつながろう!~目指せ農業女子・豊かな食~」とは?

2021年8月から2022年1月にかけ、主に福島県内等に在住している農業に従事または関心のある女性が、月1回二本松市岩代地域にある農家民宿「清峰園」を主な会場として集まり就農、農産物の製造・加工、販売などについて実践を通して学び、合わせて食についても考え学びあいながら情報交換を行なう場。

講師には地元で農業を営む先輩農業者の方や、有機農業や女性の起業について研究をされている大学教授、地元食材を使った料理教室を行うシェフ、農業経営の専門家を迎え、受講するメンバーは移住して農業を志す方、安心安全な食べ物に関心のあるお母さん、地元農家に嫁いできた方、情報交換を求める方など、食と農に関心を持ついろんな立場の皆さんによって構成されています。

第3回目は、菊地果樹園さんの広いりんご畑で収穫体験した後、古民家をリフォームしたお宅に場所を移して農産物の6次化や移住に不可欠な住まいの話「空き家の有効活用」について学びました。

第3回目の会場となった菊地果樹園さんはほとんど市場に出回らないことから幻のリンゴともいわれる「阿武隈高原 岩代りんご」の生産者として約2ヘクタールの広大な敷地に数種類のりんごを栽培しています。ご自宅のすぐそばに直売所を建て、夏にはブルーベリー園も。直売所では手づくりのパンやお菓子なども販売しており秋から冬のりんごの時期にはお客さんで賑わいます。その直売所で、直売所を作ったきっかけや6次化に取り組んできた経緯について園主の菊地英男さんにお聞きしました。

真剣なまなざしで菊地さんの講話を聴く参加者の皆さん。この間にもお客さんが次々に訪れていました。
りんごを送る際に入れていたチラシのひとつ。イラストは菊地さんの手によるもの。もらったらうれしい!
アップルパイ・メロンパンが人気商品

菊池さんの講話のあと、りんごの収穫体験に畑へ向かいました。この時期はつがるや紅玉が収穫の時期を迎えていました。
食べごろの見分け方と上手なもぎ方のコツを聞いて、参加者の皆さんが好みのりんごを収穫しました。

真っ赤に色づいておいしそうなりんご!

りんごを収穫しているタイミングで雨が降ってきてしまい、あわただしく菊地さんのご自宅へ。薪ストーブが焚いてあり、冷えた体をじんわりと温めてくれました。

菊地さんの奥様、美穂さんの焼きたてアップルパイとコーヒーに舌鼓を打ちながら講義は続きます。一緒に現在販売されているりんごジュースと冷凍りんご「冷え冷えアップル」も試食させていただき、商品の開発のきっかけや経緯を伺いながら、改めて6次化について理解を深めました。すべてにおいて東日本大震災がターニングポイントとなっているそうです。あのときの福島県の作物に対する扱いは思い出すだけで悲しくなりますが、そこから立ち上がり工夫を重ねた結果、現在ではほぼ震災前の水準に売り上げが戻っていることに快哉を送りたいと思いました。
 また、果樹園経営のかたわら、田舎暮らしのための住宅や土地を販売する不動産業を営んでおられる菊地さん。移住に不可欠な「すまい」の話、特に最近注目を集める「空き家の利活用」について伺いました。今後は移住者支援のための物件案内も積極的に行っていきたいという心強いお話も聞くことができました。安心して相談することができそうです。

焼きたてのアップルパイ!もちろん菊地果樹園産のりんごがたっぷり入っています。
看板商品の「ひえひえアップル」半解凍くらいで食べるのがおすすめ。

当日の様子はこちらからご覧いただけます。

4回目は東和地区を会場に、農業体験などの短期移住の方が利用できる施設の見学や農村女性の起業活動についての講義の回。

東和地区にある「和花み家」見学から。太田郵便局の裏手にあり、気軽にあつまれるスペースとして貸出をされているそうです。今回の講師のひとり、片平さんが管理・運営をされているそう。近くには幼少のころ遊んだ神社もあり、自然あふれるすてきなスポットでした。すぐそばには片平さんの管理されている空き家もあり、こだわりのつまったお宅に参加者の方からは住んでみたい!との声もありました。(その後移住者の入居が決まったとのこと。)

和花み家さんの外観です。1階が交流スペース、2階がゲストハウスになっています。
1階の交流スペース。広々としています。
2階部分がゲストハウス。広々としたダイニングキッチンで楽しく交流できそう。

和花み家見学のあと、会場を太田住民センターへ移し、「農業と健康」をテーマに片平正子さんによる講話。仕事・子育てがひと段落したことがきっかけで身体のことに興味をもち、ホリスティックな生き方に関心を持ち、やがて一般社団法人「いのちまるごと輝く」を設立することになった思い、今後についてのお話を興味深く伺いました。ちなみに今回のお楽しみのおやつは参加者のSさん手づくりのチーズケーキでした。

参加者のSさん手づくりのお菓子でブレイクタイム。チーズケーキ美味しかったです(^^♪

片平さんの講話のあとは福島大学で教鞭をとっておられる岩崎由美子教授による「女性が主体となった起業活動の意義」についての受講。私が今回の農業女子の研修で最も聞いてみたかった内容のひとつです。

 先生は農業女性起業の研究・調査を20年かけてされてきましたが、集落の衰退化を感じるようになってきたとのことで、衰退をくいとめ、地域が元気になるような取り組みを実例を交えながらお話しいただきました。

 今回一番印象に残った言葉のひとつが「乳役兼業無角牛」。かつての農村女性を指す言葉とのことで、確かに80代半ばの姑の「嫁」時代がまさにそれ。かなりの辛酸をなめたらしく、実質的な家の主となった今でも折に触れて話がでてきます。

 女性がすばらしいと思えるのがここから地位を向上させ、また社会をかえていくチカラとなっていったこと。生活改善グループ、JA女性部、婦人会などの地域女性グループが立ち上がり、女性の活動が盛り上がってきたことです。東日本大震災からの復興の過程でも、女性のチカラがなくてはならなかったことがよくわかりました。

 講義の終わりにはいろんな視点から意見交換が行われました。エンパワーメントしていくためには女性のチカラだけでなく、それを応援し背中を押してくれる男性の存在も大切であること、人と人とのつながりが薄れつつあるある今だからこそ、(この農業女子の研修を通じて)つながりを持てることの大切さを再確認しました。

次回は第5回と最終回の様子をお伝えしたいと思います。

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