2020.11.30 サイトopen!

流れ転がり…Dual Life! 日々是好日(6)

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●いわしろにあるもの・ないもの

2020年秋からいわしろで暮らしている冬蜜柑です。2回目の冬を過ごしています。
昨年末から断続的に寒波がやってきて、いわしろでも何度か積雪がありました。晴れているときでも日陰では道路上に雪が残っているところもあり、朝夕の運転は緊張します。でも、ちょっとずつ日が長くなっていくのが何よりうれしい今日このごろです。

さて、前回は、いわしろがどこにあるかを説明しました。今回は、いわしろに何があるのか、何がないのかを、私の目線で述べてみようと思います。

まずはインフラ、ライフラインです。
交通に関していうと、いわしろに鉄道駅はありません。バスターミナルもありません。駅がないので駅ビルも駅前もないのは当然なのだけれど、私には当初これがとてもさびしく心細く感じられました。駅や繁華街がないので、いわしろの中心がどこだかわからない感じでした。
また、当初は自分のクルマをもっておらず、いわゆる「交通弱者」だったので、公共交通が乏しいことはとても不便かつ不安でした。私の住まいはバス停から歩ける距離なので、バスを使って二本松まで出さえすれば、そこから電車でどこへでも行けると考えていました。とはいえ、若者とちがって休みに友だちと繁華街で遊ぶこともないので、よほどの用事がないかぎり福島や郡山の街へ出ていくことはありません。コロナ禍でなおさら街歩きは遠くなってしまい、最初の半年はいわしろにこもっていました。そうしていられたのも、インターネットで買い物ができたおかげです。

二本松駅から岩代支所までは福島交通の路線バスで500円。ここから先はコミュニティバスで

いわしろ内の移動には、コミュニティバスがあるにはあるのですが、便も路線も限られていて、かなり土地勘がないと使いこなせません。移住者や観光客の足にはなりにくい気がします。
田舎あるあるで、「ここではクルマがないと生活できない」とよくいわれます。「いえいえ。クルマがなくても何とか楽しくやっていけますよ!」といいたいところなのですが、やはりクルマがあったほうが格段に便利で快適です。交通弱者生活を半年で投げ出し、私も中古の軽自動車を手に入れました。

小浜の中心部。バス通りにある商店
閉店した店の軒下には、ザ・昭和の懐かしい看板だけが残されています

いわしろの小浜地区の中心部にはぽつぽつと個人商店(酒屋さんや食品店)がありますが、いずれもエリア唯一の、スーパー(ショッピングセンターいわしろ)、ホームセンター(コメリ)、コンビニ(ローソン)は、小浜の住宅街から少し離れたところにあります。
もっと品ぞろえが充実しているのは郊外型のショッピングセンターですが、いわしろにはないので、旧二本松エリアか隣の田村市船引に行きます。小浜に住んでいる私は「メガステージ二本松」に行くことが多く、クルマで15分ほどかかります。安達駅のほうまで行けばショッピングセンターはもっと充実していて、選択肢が増えます。
一方、同じいわしろでも、新殿や旭の人たちは、買い物は田村市船引に行くようです。二本松中心部より近くアクセスがいいからです。船引の幹線道路沿いには大型店が並び、カフェやファミレスも近くにまとまっていて便利です。

いわしろの新殿地区にあって、いわしろ一のにぎわいを誇る道の駅・さくらの郷
いわしろの旭地区の中心部には診療所や郵便局があります

いわしろに住むとなると、医療機関も気になるところでした。当地でこれまでに私がお世話になったのは小浜の歯科医院(健診のため)と内科医院(ワクチン接種のため)です。いずれも私の住まいから徒歩圏内で、待ち時間も短く、とても好印象でした。
もっと別の診療科、あるいは総合病院などへ行くなら二本松の中心部、郡山、福島などへ足を伸ばさなくてはなりません。クルマがあるなら、他市への通院も可能です。

家族で移住するときには学校のことも重要です。いわしろには市立の小学校3校・中学校2校があります。こどもの数は減る一方で、小学校の一部は複式学級(2学年以上でひとつの学級を編成する)になっていると聞きました。一方、いわしろ地域で唯一の県立高校は、今年度で閉鎖されるそうです。バスや電車を使って高校へ通学するには、かなり不便ないわしろです。

校舎が愛らしい小浜小学校

こどもに必要なのが学校なら、おとなに必要なのが仕事(働き口)でしょう。いわしろで働き口を探すのは容易ではなさそうですが、のどかないわしろに住んで、クルマで都市部へ通勤することはもちろん可能ですし、リモートワークができればさらにいいかもしれません。職種によっては自営や起業という選択肢もあるでしょう。
いずれにしても、住む家や仕事などは重要で、移住したいと思ったらまず探しはじめるものです。いわしろに住みたいと思う人に、家や仕事とのよき出会いがあることを祈るばかりです。

ほかにも、いわしろにあったらいいだろうな…と私が思うものはいくつかありますが、なくて困るほどではありません。あまり不便も感じずに暮らしていけるのはインターネットのおかげでもあります。インターネットという最強のインフラに支えられて、いわしろにかぎらず、これからの田舎生活は想像を超え、快適でスマートなものになっていくことでしょう。ITの恩恵に浴しながら、雄大な自然景観や星空を、心地よい風を、そして森林のめぐみを享受して暮らせたら大満足ですね。

最後に、いわしろにしかないものをあげるなら、やっぱり銘木ではないかと思います。「杉沢の大杉」や「合戦場(かっせんば)のしだれ桜」のほかにも、たくさんの立派な樹木が地域の人に愛され大切にされています。いわしろの中心に駅や繁華街はないけれど、地域のなかにこれほどたくさん、愛される樹木があって、銘木を見るために多くの人が集まります。何百年も営々と命を刻みながら、杉や桜はここで生きる人々を見守っているように思われます。

★都会から移って来る方にお伝えしたいのは…いわしろの名山・日山(ひやま)の麓に、知る人ぞ知る秘湯があることです。名目津(なめつ)温泉といいます。入浴料はおとな500円。清潔で快適な施設です。泉質は「単純弱放射能冷鉱泉」。ラドン含有量が多く、特殊成分を含む「療養泉」。ゆったりくつろげる、源泉かけ流しの湯です。

名目津温泉は日山の麓、口太川の渓流沿いにひっそり建つ日帰り温泉

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